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書籍

よそ者の観察記録 - 記録 1

取り残された魔術師、ロザリンド・フレンリック著

で。クロックワークの使徒と呼ばれるこの組織が、クロックワーク・シティについての私の考えを記録するように依頼してきた。どうやら私はここ百年くらいで直近に現れた人間らしい。私は「大観光都市ではないわね?」と告げたが、彼らは全く笑わなかった。正直に言うなら、今のところ私が言った冗談全てに笑っていない。しょうがないので、かろうじて分かったことについてだらだら話し続けましょうか? それが私にできることでしょう。

彼らは私に観察結果から始めるよう勧めた。何でもそれが、私が提供できる最も「客観的」な視点らしい。そうね、彼らがそこに何を求めてるのか定かじゃないけど、私はちょっとしたアドバイスを無視するわ。何故って私自身の記述から始めるべきだと思ったからよ。結局、私が誰かを知らずに、誰が私の考えることなんかを気にするの? それは私が話を読むときにいつも考えてる。

それじゃ、私について少しばかり。私は皆様ご存知のよくいる魔術師。たぶん火の玉を召喚し、あちこちにテレポートする技能ってかなり典型的よね。特に強い力があるとか何かじゃないわ。言わせてもらえば、それについて使徒の人たちは絶対にがっかりしてたけどね。彼らは魔法の名手か、ここにでっち上げた妙な仕掛けだけを気にしている気がするわ。ここの機械の扱いが、とにかくすごく上手いんだって言ってきた使徒が何人かいた。彼らにとってある種の大事なことだったのね。悪いけど、私はそれほどソーサ・シルを崇拝するダークエルフの集団に加わりたいとは思わない。

どうして私がここにいるかって? それよ。私自身本当にそれが知りたいの。そう、私はつい最近テルヴァンニの魔術師に弟子入りしたの。型破りで、見習いを置くことが難しい時期があった。それで、このエルフは言ってしまえば、クロックワーク・シティの熱狂的な愛好者なの。彼も本当にここへ来たがってるわ。取り憑かれてるくらいに。彼が「あらゆる車軸の謎」について講義を始めたら止まらない。彼は本当にその謎が何か知っていたわけじゃないけど、ここにあったことは知ってた。

簡単に言うと、彼は間違ってなかった。そして彼は自分の望みを叶えていたでしょう。私が馬鹿で、先にポータルへと足を踏み入れていなければ。ええと、つまり、つまずいたって方が近いわね。私は彼が現れてくれないかって願い続けてる。でも、どうやらこれは片道だったみたいね? 時々の次元の移動とかそういうことで。再現しそうもない最高の状態。それが私の巡り合わせだったんでしょう。

それで私はここにいるんだけど。まあ、老いたボスがここに夢中になるかどうかは分からない。まず、ここは荒れ果てた土地よね。ブリキのカップの中にはまってるみたいな臭いがするし。うう、何もかもが金属。木も、生き物も、人も! 彼らは金属の手足を持ってる。察するに、ある種のファッショントレンドとしてやってるみたい。鳥肌が立つわ。

わかった、私のここでの世話人が時間切れだと言っている。彼らはもう少し私を試験するつもりだと思う。私の髪や唾を「分析」のために少し採取するのよ。彼らは私の考えについて書くように頼み続けるんじゃないかと思うけど。ファクトタムのどれかが考えを読めるんじゃなければね? ま、出来ても驚かないけど。

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