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書籍

スカイリムのオーク

最果ての放浪者ソーラ著

スカイリムのノルドにとって、これまでのところオークほど叩いても叩いても自分たちを悩ませる存在は他にない。あの牙の生えた連中が我々の麗しい郷土の占有を主張したのは、遠くイスグラモルが「亡霊の海」を渡る以前までさかのぼる。当時の記録はほとんど現存していないが、同胞団がスノーエルフを駆逐するかたわら、オーク要塞を一つ残らず滅ぼしたことについては、さまざまな歴史に言及がある。

オーク要塞は防備の堅い拠点であり、鉱物資源の鉱床の周囲に築かれることが少なくない。十数世帯が暮らせる施設を擁し、周囲には最強の軍勢以外どんな相手でも撃退できるよう設計された防壁が巡らせてある。領内のオーク要塞を滅ぼそうと企てた挙句、果たせずに命を落としたことで歌にうたわれ、記憶にとどめられている首長は数知れない。オーク要塞を単に滅ぼせないだけならまだしも、滅ぼしたはずの要塞が世代も代わらないうちに復活することもしばしばである。それを防ぐにはノルドの砦で対抗するしかないが、その場合は兵員と糧秣を絶えず補給しなければならない。

岩を積みあげただけの砦とも呼べないような代物を数年以上に渡って守る余裕のある首長などほとんどいない。だから、オーク要塞は依然として我々の土地の病巣であり続けている。オーク要塞の中にはこの調子で数千年とは言わないまでも、数百年存続しているものがある。イーストマーチのクレイドルクラッシュにある古いオーク要塞などは、地下の鉱脈が完全に枯れてしまったにもかかわらず、これまで攻め落とされたこともなければ打ち捨てられたこともないと言われている。

スカイリムにおけるオークの勢力が絶頂に達したのは、第二紀の初頭、ヤシュナグの族長国が樹立されたときである。ブレトンとレッドガードの連合軍によるオルシニウムの破壊を契機に民族大移動を強いられたオークたちは、北の大地全土に離散する。ハイロックを追われたヤシュナグとその民は東へと逃れ、いにしえの権利によって自分たちのものだと彼らが感じるスカイリムの土地を奪還しようとした。西スカイリム王のスヴァートルは、西王国を蝕むオークやリーチの民を撃退する能力に欠けていた。ヤシュナグの族長国は30年余りものあいだ西ファルクリースを悩ませ続けた末、第二紀の467年に「ヤシュナグ殺し」のハックヴィルドによって焼き払われた。

ハックヴィルドがファルクリースの首長になったのは、父親である先代首長が戦場でヤシュナグに殺されたからである。若き首長が継承したのは、西から攻めてきたオークの侵略者たちに大部分を占領された、崩れかけの砦以外にほとんどなかった。ハックヴィルドはヤシュナグとヤシュナグに従うオークの勇者たちに決闘の儀式で勝負をつけようと申し込み、1人ずつ倒していったと言われている。この知られざるオークの儀式をハックヴィルドがどうやって知ったのかは詳らかになっていないが、指導者が倒されたのを見て、ヤシュナグの追従者たちは族長国を捨て、去っていった。

ヤシュナグの族長国が崩壊すると、オークはスカイリムのさらに奥へと入り込んで散らばるか、または後退してロスガーの山々に分け入った。ヤシュナグの民を祖先に持つオークの諸部族は、スカイリムの歴代王に対して激しい憎悪を燃やしてきた。オークが数百年前に自分たちの故郷を焼き払ったタムリエル西部の民とさえ関係を修復していることを考えると、ノルドに対する彼らの敵意がこうまで大きくなったのは、皮肉としか言いようがない。

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