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書籍

かつて

〈告げ示す者〉ベレダルモ著

かつて、我々は偉大であった。

かつて、バトルリーブは戦争の達人であり、サピアルチは賢く教養があった。かつて、我々はエルセリック海からロスガーの山々までハイロックのすべてを支配した。そしてネードは我らの奴隷であり、道具であった。

かつて、ティリゲルの白鳥ことディレニ・シグナスはバルフィエラとその塔を発見し、自身のものだと主張し、後から来た彼女のクラン全員に彼女の名を冠するように命じた。

かつて、錬金術は、アルテウムの初期のサイジックに入会依頼を受けたアスリエル・ディレニが「試料簡略年鑑」を編集するまでほぼ不明瞭であった。

かつて、レイヴン・ディレニの「エルドリッチ結合の法則」の確立以前は、付呪すべてが大変珍しいものであり、その試行のほぼすべてが失敗に終わるようなものであった。

かつて、アレッシア改革の間、リャン・ディレニは帝国に耐え忍んだ。彼のブレトン軍はディレニのエルフから武器の供給と指示を受け、東はマルカルスとエリンヒルまでを支配するに至った。オルシニウムのオークの要塞は何度も略奪を受けたが、そこを最初に略奪したのは我々ディレニである。

かつて、グレナンブリア湿原の戦いの戦いで、エイデン・ディレニの無数の軍勢はアレッシアの大軍に圧勝し、彼らをシロディールに追い返した。

かつて、下級デイドラの召喚でさえも恐れられ避けられていた頃に、コルヴス・ディレニは召喚の法則を体系化した。

かつて、ペレグリン・ディレニは自身の真なる意志をイリアック湾の波に変え、ラ・ガーダの船隊をセンチネルへ追い返した。

かつて、ペラディル・ディレニは石の精霊の軍団を召喚することで、リルモシート遺跡に散らばった瓦礫からたった1日でブラックローズ監獄を建設した。

そう、我々はかつて偉大だった。しかし、個人の功績が何であろうと、シグナス以来ディレニは皆、成功に恵まれることはなくなってしまったのだ。

なぜなら我々はゼロストーンの謎を解き明かせず、それによって守られたアージャント・アパーチャーを開くことができないからである。

成人すると、高潔な血筋のディレニは皆、塔の地下宝物庫へ案内され、ゼロストーンを見せられる。我々はそれに触ることができる。我々が決して使うことができない力、そこに流動する神秘的で並外れた力を肌で感じるのだ。そして隣接する金属製の壁にあるアージェント・アパーチャーを見せられる。その扉にはゆっくりと逆回転する13の輪の錠が付いている。決して開くことができない扉だ。

我々ディレニがストーンから力を吸収するか、アパーチャーを開くことができなければ、間違いなく他にできる者はいないだろう。我々は世界の高みへ戻り、壮大なことを成し遂げる。自身の失敗を受け止めずに済むように。

しかし、我々は死の間際に一度、それぞれの知識、功績を集結させ、もう一度地下宝物庫へと続く階段を作る。清算するために。ただ一度だけ。

大半は1日か2日以内に、死んだ状態か体がひどく捻じれた状態で発見される。私の最愛の人であるへロンのように、中には生き延びる者もいるが、怪我がひどく、混乱状態で自分達に起きたことを理解できない。

私? 私はトルマリン尖塔にある自分の部屋に留まり、昼間はへロンの世話をして、夜は蔵書庫でアイレイドの書物の翻訳をしている。この生活にも十分満足している。

しかし、古代のグリモアやリブラスの魔術師のことを調べていると、長らく行方不明だった一族のアルケインの書物は秘密にしておくべきなのかどうか、時に疑問に思うこともある。

そこでこう考える。何の役にも立たない知識は存在するのか? そしてこう考える。この知識は何の役に立つのだろうか?

そして私は階下への長い道のりに足を踏み出す。

ただ一度だけ。

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