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書籍

サピアルチ大学にて

流浪の年代記作家アダンドラ著

サピアルチ大学。それはリランドリルの西、海から突き出した小さな島にある。リランドリル本土とこの小さな島をつなぐ魔法の出口を操るポータル管理人の許可を得ない限り、一般市民はこの地区に入ることはできない。これは賢者を保護し、深い思想を考え、未知の伝承を研究するための静けさを保つ措置だと言われている。著者は繰り返し、この孤絶した大学地区で何が起きているのかを確かめようとした。私が明らかにしたことを以下に記そう。

だがまずは、サピアルチ自身についての背景を述べておこう。サピアルチとして正式に認定された者は常に223人おり、各人は何らかの専門的研究領域に専念し、その領域を管轄している。例えば、サピアルチを現在指導しているリランドリルのラーナティルはアルケイン学サピアルチを務めており、アルケインの伝承に関して収集された知識を、その卓越した精神の中に詰め込んでいる。また、それぞれのサピアルチには1人か複数の侍者が助手を務めている。侍者は修行中のサピアルチであり、いつの日か自分たちのマスターを引き継ぎ、大学の席を得ることを望んでいる。しかし賢者志望の者にとって、これが唯一の道というわけではない。優秀なハイエルフの学者はいつでも召喚を受け、この名門大学に加入するよう招待を受ける可能性がある。

個人としてのサピアルチは調査の実施と記録によって専門領域を拡張し、講義を行い、自分の研究領域に関する問い合わせがあった場合には助言を与え、論文や本を書いて自分が扱う論題を解説する。集団として、サピアルチ大学の機能はサマーセットの現在の指導者に助言を行い、そして玉座の継承者を訓練することである。また調査や研究によって一般に知らせておくべき新たな情報が解明された場合、彼らは声明を発し、調査を検討した上で、それが学問的価値のある対象に加えられるべきかどうかを判断する。

サピアルチ大学という名で知られている、物理的な地区の話に戻ろう。著者はまだ大学地区を個人的に探索する機会を得られないでいるが、信頼できる筋から得た情報なので、以下のことは大部分において真であり、信用できる可能性が高い。壁に覆われたこの地区は、リランドリルから真西にある小さな島を埋め尽くしている。私に調べられた限り、この地区の中心部分には大蔵書庫や学習室、大学の最上位者のための居室がある。下級のサピアルチが使う寮と学習用の個室があることも分かっている。

しかしサピアルチ大学の真の驚異は、水晶の塔とのつながりを除けば、主要部分の下にある部屋と廊下の巨大な迷路である。「迷宮」として知られるこの区域には複数の機能があるが、その最も名高い用途は、アリノール王家の継承者の試練に関するものである。玉座の継承者は適切な年齢に達するとサピアルチ迷宮へ赴き、3555日の間「アルトマー王の実践と儀式の道」を学び、その上で王位を得る。

謎めいたサピアルチ大学にはさらなる秘密があることを著者は確信しているが、賢者たちがプライバシーを要求し、女王とその密偵がそうした政策を支持している限り、サマーセットの民は大学地区の壁の内側で本当は何が起きているのか、決して知ることがないだろう。

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