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死霊術師の日記

影の鎌が手に入れば、目的を達成するのも時間の問題だ。今までずっと進めて来た計画が実を結ぶ。あのブレトンどもがこの刃を鍛造した時は、何を成し遂げられるのか想像もできなかっただろう。生きた者をその影から切り離す能力を持った刃。それがどんな力を秘めているか気づくには類まれなる才能が必要だったのだろう。この刃は単なる玩具ではない。影を切り離されると、人は自分自身との接点を失い始める。その不運な者が紛れもない奴隷となるまで、生命の基本的な事実を超えた思考が消滅していくのだ。これが私がよく知る魔法だ。

もちろん、他にも同じことに気づいた者はいるだろう。そうでなければ、この鎌が贈り物に見せかけてノクターナルの祠に隠されていた理由がないではないか? これだけ重要な遺物がただ祠に置かれ、故意に忘れ去られることなどない。影の女王自身は、今となっては何とも愚かしい呼称だが、疑いなく鎌がただの道具だと信じている。だが今に分かるだろう。他の皆と同じように。

当然だが、完璧な計画でもなかなかうまくは行かない。影の鎌を回収するために雇った馬鹿どもは無能さのあまりあやうく私の計画を台無しにするところだった。子供時代の友人に見つかるとは。本当に愚か者の無謀さには限度というものがない。それでも、仕事は半ば適切に行ったのだから、報酬は与えるべきだろう。彼らの行動を逐一制御できるようになれば、このような失敗を繰り返すこともなくなる。もちろん、彼らを使わなくても構わない。利用価値が尽きたらすぐに縁を切ることもできる。

鎌の力を完成させるための儀式の前に、持って来てもらわねばならない品物はあと少しだ。鎌の力が頂点に達すれば、それを使って如何なる強情な精神も私の目的とする方向へ変えられるようになる。それに新たな奴隷の精神が傷つけられたとしても、いつでも魔法を使って支配できるように修復できる。しもべの寿命と生命力は留まるところを知らぬ。

私の時代はもう目の前だ。人を率いる指導者たちも今は拒絶しているかもしれないが、私が如何なる才能を持つか知った時には、恐怖におののくだろう。

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