人目を避けて暮らしているモークル・クランから招待を受けた。
ロスガリアン山地の奥深くにある、彼らの最高傑作を作っている鍛冶場を見るのを許されたのは、そこの親方の話では私が初めてだという。
初日だけでも、オークにできるとは思ってもなかった驚くべき光景をいくつも目撃した。大学へ戻る前に、この体験を記録しようと決意した。
ここのオーク達の秘密主義には驚いた。
大きな鍛冶場の入口でさえ用心深く隠され、そこにあることを知らなければ目に入らない。
それでもまだ足りないとばかりに、一族や、ある種の方法で自分を証明できる者にしか開かない道もあるようだ。
もっと探ってみないと。
鍛冶場は驚異的だった。
正直言うと、しょせんオークだと半信半疑だったが、とんでもない光景だった。
あえて触れないが、鍛冶場を作ったのがオークでないことは明らかだ。
実際、その起源を隠すためにオークはいろいろ外観を凝らしていた。
しかし、内部の仕組み、精密なデザインはどうだ?
オークの石の下に隠されているのはドゥエマーの才気だ。
それは疑問の余地がない。
オーク達は鍛冶場を自慢気に語り、様々な道具を使って作業しているが、鍛冶槌については何も語らない。
自分達が何を持っているかさえ分からないのか?
鍛冶場はたぐいまれなものだが、ここでこれを作ったのがドゥエマーだと考えるのが自然だと思いつかないほど、こちらも鈍くはない。
鍛冶槌はかなり古いものだが、今でも丈夫だ。
槌の持ち主が彼らではなくて私だったら何ができるだろう!
いつかチャンスがあるかも知れない。
今は鍛冶場の親方に、休息と水分を取れるように脇の控室を案内された。
この場所は熱でうだるように暑く、頭を曇らせる。
頭がすっきりしていたから、なおさらだ。
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