吟遊詩人ミズビは長い間、ドラゴンの扉の向こう側で暮らした。ドラゴンの巣はミズビの頭の中にドラゴンが占めていた空間より遥かに広かった。ドラゴンは笑い話として、しばしばこのことを思い出させてミズビに嫌がられた。
「私の頭が小さいって言うのはやめて!」とミズビは言った。「私の頭は無限に大きいはずじゃない。無限に大きいお前のエゴを全部中に入れていたんだから!」
そんなことは可能なの? 無限の中に無限を入れることは?
「とにかく、そんなことはいい」とドラゴンは言った。「お前の頭を見れば、小さいことはわかるのだから」
ミズビは唸った。ドラゴンは笑い続けたが、ミズビが本気で怒っていることに気づき、埋め合わせをしようとした。
「お前の頭が小さくないというのなら、証明するといい。私に謎を作ってくれたら、お前の望むものを与えてやる。もう二度とお前の小さな小さな頭のことは言わない」
「謎?」
「不可能な謎よ。私が解くことのできない謎」とドラゴンは言った。
ミズビはほとんど考え込む様子もなく、謎かけを提出した。
「手に入れるためには、諦めなければならないものは?」
ドラゴンは乗り気になった。これはよく考えなければ。だがミズビめ、これほど素早く思いつくとは。ドラゴンは唸り声をあげて考え悩んだ。双子月が満ち欠けした。そしてついに、ドラゴンはミズビに答えを求めた。
「その答えが答えよ」とミズビは言った。
ほら来た。
「手に入れるために、諦めなければならないものは? 不可能な謎への答えよ。なぜなら一度その答えを手に入れたら、謎は不可能でなくなってしまうから。あなたは不可能なものを求めた。不可能な謎を――でも、どんなことでも可能なのよ。つまり不可能なのは――」
「もういい」とドラゴンは言った。「お前のその大きな頭にはうんざりよ」
この話の行方に気づいたかな、後継者。賢いだけでも、ドラゴンを言いくるめるだけでも十分ではない。ドラゴンを罠にかける必要があるの。
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