ドラゴンスターキャラバン社との取引について
ハロルド・ファーフライ著
現在のクラグローンはボロボロで酷い土地に設立されたことは有名だ。
シロディールの帝国の監視から逃れた犯罪者、エバーモアやショーンヘルムの街からの貧民、そして文明の快適さと不自由さから逃亡して、冒険を探し求める者達によって。
ベルカースの通りに見られる道徳ほど、黒い起源を持つ場所はどこにもない。
不道徳な商人や盗賊、闇市の密売人の集合よりもほんの少しマシな位だ。
ベルカース唯一の政府と思われるものは、ドラゴンスターキャラバン社の悪党の意志だけだ。
ベルカースでは、全ての悪しき行為が認められ、全てが売りに出されている。
この腐敗の例として、いまやよく知られるマドリガの話を引用しよう。
愛され、尊敬されるクラウンの娘であるマドリガは、ドラゴンスターキャラバン社の密偵から彼女の父の執事が被った負債への支払いとして、家から連れて来られた。
彼女は誘拐され、クラグローンの危険な場所へと連れて来られた。
そして彼女は10年後、クロスローズ酒場のバーテンダーとなっていたのだ。
今や大人の女性となったマドリガは、まったく彼女の父の家にいた内気で美しい子供ではない。
実際、彼女は高飛車で気まぐれな女性に成長したが、その厚かましい態度は地元の売春婦よりも少しいい位だ。
父親の家が彼女を家に戻し、貴族や名誉ある地位の者と結婚させるために家に連れ戻そうと衛兵を寄こした時、彼女はこう叫んだ。
「結構よ。ここの方が賃金が高いわ」
この話をドラゴンスターキャラバン社と関わる機会がある場合の警告として考えてほしい。
商人たちは、貴族や文明社会の繁栄を支えてきた、確立された秩序に対して何の敬意も払わない。
彼らの唯一の主人は金で、礼儀正しさや名誉が彼らのサービスと彼らの主の間に介在するのを許さない。
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