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書籍

メイリードの日記、項目712

まだ手が震えている。まともに字も書けないけど、これは記しておかないと。頭の中にあるものを外に出してしまいたい。書いておかなかったら、本当に起きたことか分からなくなってしまう。ただの悪夢でなかったと、自分を納得させられなくなる。

一瞬の出来事だった。恐ろしい、奇妙な格好をした男たちが私を連れ去ろうとした。理由は言わなかったけど、数人は私が知らない名を叫んだ。ヴァルキナズ・ノクブロズ。

自分の目がほとんど信じられなかった。あいつらは物凄い勢いでやって来た! 宝物庫にこんなに多くの人が一度に入ったのは初めてだ。騒音と異常で、まるで壁が侮辱を受けて震えているかのようだった。耳が赤くなるのを感じた。家に侵入してきた奇妙な男たちは、傷が付くほど強く私の腕をつかんだ。私は殴りかかり、思い切り蹴りを入れた。叫びもしたけど、無駄なことはあの時でさえ分かっていた。私の声など誰にも聞こえない。これまで何度も叫んできたけど、いつも答えるのは反響だけだった。

でも捕まったと思った時、私の内部で何かが解き放たれた。それは私の胸の中から鞭のように飛び出した。痛みを感じたか、それとも何も感じなかったのかは覚えていない。その感覚は私を完全に圧倒した。叫びたかったけど、肺に空気が残っていなかった。少しの間、私には光しか見えなかった。眩しさが全てを洗い流し、光が隅々まで拡がり、全ての影を追い払った。その後は、無が続いた。

目を覚ますと、床に死体が転がっていた。他の者たちは消えていた。また、私は一人だった。何が起きているのか分からないけど、何かが変わろうとしている。永久に。

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