書籍

捜査官ヴェイル:マンドレイク邸の呪い

「かけがえのない友よ、亡霊などいないわ。犯人は、鍛冶屋のパルウィンよ!」

捜査官ヴェイルの言葉が壁にこだまし、蔵書庫に集まった大勢は、レディ・マンドレイクの周囲で息を呑んだ。
犯人と呼ばれた者を探そうと四方を見回した。
部屋の奥に、鍛冶屋が不安げな様子で立っていた。
かぶりを振っているが、その顔には、やましい表情が広がっていた。

「何をおっしゃる? これほどの厄介事を、ただの定命の者が起こせるわけがない」と鍛冶屋は弁解するように言った。
「どうして密室に忍び込んで執事を殺せる? どうして死体を隠せる? ずっと鍛冶仕事をしていたのに。証拠もないくせに!」

部屋は静まり返り、全員の目は再び捜査官ヴェイルへ向けられた。
だが、激しい言葉にも、彼女がひるむ様子はなかった。
燭台の炎がちらつく中で、目を輝かせると、肩を引いて顎を心持ち上げ、漆黒の髪を背中になびかせた。
右手の握り拳の中に何かを掴んでいるようだ。
おもむろに拳を開いて指を広げると、そこに現れたのは、頭蓋骨の形をした光り輝くブロンズの鍵だった。

「親愛なるパルウィン、またしても私を甘く見たようね」とヴェイルは言った。
「証拠は、あなたの顔に鼻があるのと同じくらい明らかよ。この頭蓋骨の鍵を入手できたのはあなただけだった。マンドレイク邸からなくなった鍵を!」

パルウィンの目が見開かれた。
彼は言葉に詰まり、気を取り直そうとした。そして言った。
「そ… それが私のものだとどうして分かる。どうやって手に入れた? 答えを… 聞こう。私を利用したんだろう!」

ヴェイルは頭を戻し、長く優雅な喉から、嬉しそうな笑い声を発した。
「あら、お馬鹿さんね! もちろん利用したわ! ゆうべ2人で飲んだあのお酒は? あなたの分にチンキを入れたの、あなたがぐっすり寝て部屋を調べられるように。そうなれば、部屋のどこが不自然か見抜くのはたやすかった」

ヴェイルは、部屋を動き回って聴衆に訴えかけながら、続けた。
「床にあるひっかき傷は本棚を動かしてできたもので、明らかに、隠し扉があるという証拠よ。血に染まった手袋が、隅に無造作に投げ捨てられていた。死体の発見現場には、森の草がべったりついたブーツがあった。そしてこの鍵は、誰からも見えるあなたのナイトスタンドにあった」

「それが何の証拠になる? お前が私をはめたこと以外に」とパルウィンは怒鳴った。

「何もかも証明している」とヴェイルはにこやかに言った。
「亡霊ではなく、不満げな鍛冶屋がいて、邸宅の地下のトンネルをさまよっていた。この鍵の元に行ける唯一のトンネルを。最初は脅かしやゆすりとして始まった企みは、ついに殺人へと至った」

「違う!」とパルウィンは叫んだ。
「私のものを使ってだまそうたって、そうはいかない! 二度と!」。
彼はベルトから短剣を抜くと、ヴェイルへ突進した。
ヴェイルが間一髪でよけると、パルウィンはバランスを崩し、頭から壁にぶつかった。
崩れ落ちた彼の胸に短剣が刺さった。

「殺人は償えない」とヴェイルは言った。
「さて、もう下がっていいかな。強い酒のボトルが私を待っているの。そして、また謎が現れる。いつだって謎が現れる」

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