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書籍

定命の者により召喚された

デスブリンガー・クランのキンヴァル・ゼッデンカシク著

私が記憶している限り――そしてドレモラなら誰でもそうであるように、私の記憶は、特に復讐に関する記憶は優れている――私は自分のクランの士官たちに忠実に仕えてきたし、それを通じて我が主、モラグ・バルに仕えてきた。しかしながら、常にというわけではなかった。恥ずべきことながら一度だけ、私は他の者に仕えることを強制されたからである。

私は終わりなき階段を警備する任務に就いていた。これはいつでも楽しい仕事だった。というのも、通りがかる魂なき者を馬鹿にしたり嫌がらせをしたりでき、しかも奴らのノルマ達成について責任を負わなくてもいいからだ。爪の柱のかげから飛び出し、「見つけたぞ、弱き者め!」 と叫ぶのは、面白くてしょうがない。

私はダークアンカーの鎖の連結部の後ろに潜み、近づいてくる魂なき者をいきなり殴り倒し、「相手にならん」と嘲笑して、恐怖を与えてやろうと待ち構えていた。すると突然、角から足先まで体中にちくちくと痛みを感じた。目まいがして、危うく青いプラズムの池に倒れこんでしまうところだった。そして突然、終わりなき黒い虚無の中に自分が投げ込まれるのを感じたのだ。

最初は不安を感じなかった。終わりなき黒い虚無に投げ込まれたことのない者がいるだろうか? その場所で自分の体が具現化し始め、空気の味を感じて、初めて最初の不安を覚えた。「弱き者の臭いがする」と私はつぶやいた。私はまったく正しかった。

そこで初めて、私を召喚した者の声を聞いた。召喚者は「ああ、これはなかなか強そうだな」と言い、自分の置かれた恐ろしい状況が明らかになった。なにせ、私を召喚したのは… 定命の者だったのだ。

私はぎょっとして振り向き、いったい誰がニルンとの無限の距離を超えて私を召喚したのか見ようとした。すると、目の前にいたのは背の高いサマーセットのエルフだった。こうした手合いは知っている。私はこれまで少なからぬ数のアルトマーの魂なき者をいたぶってやった。それも大いに楽しんで。こいつらは定命の者にはふさわしくない、偉ぶった傲慢さを隠そうともしない。このエルフは私に軽い、値踏みするような一瞥をくれた後、背を向けて「ついてきて戦え。虫の教団の信者どもを退治する」と言った。

虫の教団の信者。この屈辱を想像できるだろうか? 憎たらしい定命のエルフによって自分の任務から引き離されただけでなく、そいつのためにマニマルコの、つまり我らがドレッド・ロードの副官にして副王となるべき存在のしもべを殺さなければならないのだ! 私は抵抗しようとして我が不屈の意志を振り絞ったが、この定命の魔術師の拘束呪文はあまりにも強力だった。私にできることは「誰も逃さん!」と言ってこの者に従い、一対のたいまつを通り過ぎて地下のトンネル迷路へ向かうことだけだった。

「ドレモラよ、お前は偉大なるヴァヌス・ガレリオンに仕えるのだ」と私の召喚者は宣言した。誰もそんなことは聞いていない――自分を奴隷にしている主人の名前を知る必要がどこにあるというのか? しかし私は考え直し、その名を我々の誰もが持つ長いリストに心の中で付け足した。「復讐」という名のリストに。

私は付き従ったが、私の召喚者が身を隠すためにしゃがみ込んでも、ただこの召喚者をにらみつけて心の中で「お前の心臓を貪り食ってやる」と考えていた。しかし実際は、このヴァヌスとかいうエルフについていくしかなかった。というのもトンネルは数が多く入り組んでいた。我々ドレモラは恐れを知らず無慈悲で、オブリビオンのどこを探しても戦士としては右に出る者がいないとはいえ、方向感覚には優れていない。密使の任についていた時、私はムーンレスウォークのど真ん中で道に迷い、出発地の光なき土牢に戻ってきてしまうことで有名だった。

そのうち、ヴァヌスは頻繁に立ち止まり、耳を澄ませるようになった。これが私の怒りと苛立ちを一層あおった。結局、彼は足を止め、私に向かって「静かに!」と言った。まったくもって理不尽だ。私は一言も言葉を発していなかったのだから。しかし奥のトンネルから人間の話し声が聞こえてきた時、私はなぜ彼が止まったのかがわかった。一瞬もためらうことなく、私は自分のグレートソードを取り出して前方に突進していった。「近くに抗いし者がいる!」と叫びながら。エルフは悪態をついて後からついてきたが、自業自得だ――私は命令を忠実にこなしていたのだから。

その後の時間は、真のドレモラならば戦闘中に誰でも感じる、あの赤い憤怒の中で過ぎていった。しかし、普段は流血の殺戮が喜びをもたらすものの、自分が手にかけているのはドレッド・ロードが望まない相手なのだという意識にさいなまれ、喜びとは程遠い体験だった。私が虫の教団の信者たちの手足や頭を切り落としている間、エルフの強力な魔法のエネルギーが火花を散らしながら私を通り過ぎ、離れた場所にいる敵を焼き払っていたが、私は屈辱に打ちひしがれ、破壊の狂騒にひたれなかった。エルフは私が最後の虫の隠者を細切れにしているところにずかずかとやって来て「こいつらもこれで終わりだな。思い知ったか、マニマルコ!」と言ってほくそ笑んだ。

「相手になる者などいない」と私は不機嫌に応じた。すると、再びあの奇妙なちくちく感が襲ってきた。私をニルンへと誘った召喚術が弱まってきたのだ。拘束が解けると私はエルフに向かって威嚇の一歩を踏み出したが、そこで再び私の周囲の次元が回転し、また終わりなき黒い虚無の中に戻ってしまった。

感覚を取り戻すと、私はターコイズ色のスライムの池に横たわり、見上げると上司であるキンリーヴ・ザルゾルキグの笑顔が見えた。「さて、ゼッデンカシク」と彼はうなり声をあげた。「任務中に持ち場を離れたのか? こいつは痛みの輪ものだぞ!」

「しかし、キンリーヴ」と叫びながら、私はがばっと起き上がり言った。「仕方がなかったのです! 私は召喚され、ニルンに向かわされてしまったのです――定命の者によって!」

ザルゾルキグはさらに口を広げて微笑んだ。「そんなくだらん嘘をつく奴には、痛みの輪をさらに追加してやろう。さあ歩くのだ、ゼッデンカシク」と彼は叫んだ。棍棒で私を叩きながら。「左、右、左、右、左、右…」

ザルゾルキグが笑うとロクなことがない。キンリーヴだろうが関係ない。彼の名前も私のリストに入れておこう。

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