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書籍

北エルスウェアへの案内

インフラシア・マリウス著

大帝国の辺境地域の中で、エルスウェアほど歓待を受けられる地は他にないかもしれない。人々の獣じみた外見に戸惑ってはならない。カジートは一般的に言って友好的で親切な民であり、訪問者を迎え、旅行者をあらゆる種類の品物やサービスで魅了することに熱心だ。気楽にくつろげる、穏やかな風と暖かい気候の場所を求めているのなら、これ以上の場所はない!

シロディールからエルスウェアに旅する場合、あなたはエルスウェア地域を構成する二大地方の一つ、由緒あるアネクイナに入ることになる。牧畜の街リバーホールドがあなたを歓迎するだろう。

この活気あふれる国境の街は、エルスウェアと大帝国の間を通る隊商と旅人がよく立ち寄る。広々とした街の広場は青空市場になっており、様々な品物が行商人の荷車から降ろされて売られている。交易商たちは旅に出ては戻るため、時間ごとに売り物は変化する。もちろん、値切る以外にもすべきことは沢山ある。<消えた後悔>宿屋が頻繁に提供している輸入品の酒は乾いた喉を潤し、 月の祝福の聖堂の静謐とした雰囲気はしばしの平穏を与えてくれる。また、改築中の歴史の館もある。歴史の館が完成した暁には、長く物語に満ちたカジートの歴史が展示されるだろう。

くつろいで再び旅に向かう準備を整えたら、リバーホールドから東へわずかに進めば、アネクイナの首都であるリンメンに着く。

リンメンへ向かう道では、エルスウェアの大地がカジートと同じくらい多様であることが見えてくるだろう。繁栄する都市に近づくにつれ、不毛のサバンナが開拓され、乾燥した牧草地が青々と茂る緑と、サトウキビの大草原へ移り変わっていくのが明らかになる。リンメンの高い壁の内側では、カジートが水を嫌うという偏見がひどく誇張されたものであると知るだろう。ここでは木や熱帯の植物が、街中に張り巡らされた人工運河に沿って育つ。この運河は王国全体に広がる水道から水を供給されている。水道は街よりも古く、遠い昔に建設された遺産である。水に沿ってぶらぶらと移動するのは、住民にとっても訪問者にとっても人気の散歩道だ。一年を通したリンメンの暖かさと、晴れの多い空模様のため、ここは帝国中から休暇を過ごしに来る者が多い場所である。ここで1日を過ごせば、カジートの歓迎がどこにも負けないことが分かるだろう!

少し冒険をしたい気分で、かなりの登山も気にならないなら、時間を割いてアネクイナ水道を辿りながら各地を回ろう。アネクイナの驚異を巡る間に、スカーを見逃すことは文字どおり不可能だろう。この地方の中心部に食い込んでいる広大な峡谷だ。上から見ても下から見ても息を呑む規模で、ここを見ないのはもったいない。もっとも、豊穣な水資源がわずかに手の届かないところにある光景は、西に広がる不毛の僻地にあって少々耐え難いと感じるかもしれない。

曲がりくねった峡谷、スカーを横断する決心をする前には、オークレストの街に立ち寄るのが自然だろう。リバーホールドがアネクイナの入口で、リンメンが首都なら、オークレストは商業の中心地である。壁に囲まれたこの古い街はスカーの崖沿いに位置し、アネクイナの分散した地方同士を結びつけるために、街の大きな橋を歓待の腕として伸ばしている。王国中、王国外からも交易商たちがここに来て、自分の商品を近隣のペレタインやヴァレンウッド、シロディールの商人に売りさばく。ここで売られていないものはほとんどない。ここのカジートは対価さえ払えば自分の尻尾すら手放すと言われているが、私はタアグラ語に流暢でないため、ニュアンスを掴み切れているかどうか自信がない。

都市生活の活気と慌ただしさに疲れたなら、景色を楽しめる静かな場所は沢山ある。メイアヴェイルの牧草地には穏やかなムーンシュガー農場が点在し、サトウキビの茎が陽気な収穫の歌と共に、涼しい風に揺れている。神々へ捧げられたカジートの聖堂は数多く、衝撃的なほど美しい。特にサンスパイアの前では、クヴァッチのいかなる大聖堂も小さく見えるだろう。しかし本当にエルスウェアでしか味わえない体験を求めるなら、僧房でモンクたちと瞑想して時を過ごし、献身的なモンクが持つ力と敏捷さ、技を見せてもらうといい。

私の言葉によってあなたがここまで来たのなら、さらに歩を進め、帝国の中でも最も素敵な地域への旅を始めてくれるよう願っている!

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