書籍

管理人の手紙

リナス

さて、若造。
アレンタスからお前が火葬場の外で幽霊を見たとかなんとか言って、血相を変えて請負人のオフィスに駆け込んだって聞いた。
まだ仕事を始めて日が浅いから、説教は勘弁してやる。
本当のことを言うと、この記念地区にはたくさんの「幽霊」が出る。
幸いなことに、奴らはお化けじゃない。
どこにでもいるただの墓荒らしだ。
忌々しいカジートが小麦粉を被って、一晩中宝石を探しまわる。
そんな奴らの後始末をするのが面倒じゃない訳がない。

「何を探しているのか」だって?
お前が生まれるずっと前の話だが、ここは昔、市場だったんだ。
それはとても素晴らしく… シロディールで1番だった。
香辛料、絹織物、良質な宝石を値切ろうと多くの人で賑わっていた。
お前にも見せてやりたかったよ。
とにかくヴァレンがコロヴィアの部隊を連れて現れた時、レオヴィックの軍団はここで最後の力を振り絞った。
当時はまだ子供だったから週の半分以上を下水道の中で過ごし、事態が収まるのを待っていた。
濡れた小石の上で眠り、汚い水を一週間飲み続けた――その間聞こえたのは叫び声、金属がぶつかり合う音、それに爆発音ばかりで、歯がガタガタ震えて抜け落ちるんじゃないかと思った。
全てが終わると、地区がまるごとなくなっていた。
文字通り、全部消えていた。
自分の膝より高いものは見当たらなかった。当時9歳か10歳だったのに。
あとは死体があった。何百と。ひょっとしたら何千かもしれない。
あんな臭いは二度と嗅ぎたくない。
エリアナの馬車の下で見つけた犬みたいな匂いだった。
しかもあの時はそれから逃れられなかった。
周辺全体に充満してたんだ。

ヴァレンがレオヴィックを排水路に捨てると、手下に命じて全ての死体を集めさせ、集団墓地に放り込ませた。
全てが終わる頃には、市場のためのスペースは最早残っていなかった。
そこで地区全体を墓地にしたんだ。
そうして記念地区ができた。

さて、歴史の授業はこれくらいでいいだろう。
話をカジートに戻そう。
馬鹿げたことに、彼らはこの地区にまだ宝石とかが残っていると思っている。
言っておくが、まだここに高価な物が残っているならこの手で見つけられたはずだ。
見つけられていたら、こんなところで鋤を振り回し働いてない。

明日、バルスのじいさんのとこに行ってこい。
上質な強い弓を買ってくるんだ。
今度「幽霊」を見たら、そいつの尻に矢を放って、刺さるかどうか試してみるといい。
きっとドアに尻尾を挟まれたイエネコみたいな悲鳴を上げる。
ドレイク10枚賭けてもいい。

――管理人ガヴロス

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