羽のある悪魔

ソーヒールズの鉛の底と車輪を壊す者のおそまつな大工仕事のせいで、この荷車をなかなかこの臭い村から出すことができない

私はここに居たくない。こんな場所にいるには若すぎるし、きれいだから

ええ、私たちはバーンダリ。センチネルに向かう途中のね。海を渡って品物を集める予定だった。このひどい場所に着くまでは、全てがうまくいってたのに

きっと聞いたことがあるはず。エルスウェアを旅する子供。商人、予言者、演者… これでピンと来たでしょう？

ええと、クナムには時間があるから、話して聞かせるよ。昔々、私たちは多くの戦争をしていた。それは牙と爪の月なき時代のこと。ある者たちは戦いから離れ、もっと良い生き方を求めて、タムリエルの土地をさまよい歩くことになった

まさにその通り。最初は新しい住み処を探してたんだろうけど、すぐに道が故郷になった。私たちもね。集まっては物を売り、人々を楽しませ、時には雑用仕事なんかを受ける。簡単な人生じゃないけど、退屈は滅多にしないわよ

そう。このハーピー臭い肥溜めで足止め。こんなとこ大嫌いよ

荷馬車が一台、道で襲撃にあってね。羽根を生やしたクソ鳥の群れが突然舞い降りて来て、バラバラにされたんだよ。おまけに逃げる途中で、他の馬車も車軸やら何やら壊れてね

今どうなってるのかは知りたくもない。クナムは車大工じゃないからね

修理？ 多分絶対に修理できないよ。車輪を壊す者がジョーンとジョーデが二度回る間ずっと、それをおもちゃにしてたからね

道具と木材が要る。でもクソレッドガードは分けてくれやしない。なぜって、まずは自分たちの家を修理したいからね

その通り。あと何日したら、あるいは車輪を壊す者が何か手に入れるかも。って言っても、疑わしいけどね

商売は順調だ。ここのハーピーが弓を貴重な必需品にしている。誰もが弓の使い手になるからね！

ムラマは破壊された！ ハーピーは去り、現在レッドガードは弓を買わない！

この悲しみを癒すために何か買ってくれないか、ん？

どっちがより被害を与えたのかはわからない。ハーピーか、忌々しい傭兵か。いずれにしても、一心不乱にふいごを動かしてたよ

ハーピーが落ち着いたのはいい知らせだが、私の血はまだあの傭兵たちを見て煮えたぎっている。生きている限り、あいつらに私の鋼は売らない

だがあなたには、ぜひとも私の商品を見てもらいたい

あの忌々しいハーピー！ 私のような腕前の仕立て屋がカーテンの修理に手間取るなんておかしいのよ！

ようやくハーピーがいなくなった！ 新しい外套を作り始めるのが待ちきれないわ

あなたも何か始めたがってるわね。私の商品に興味を引くものはある？

彼らはあの役立たず、カジートのバーンダリを鳥女にけしかけるべきだった。モーロッチにかけて、きっと楽しんだでしょう

勇敢だったわね。役立たずの傭兵たちをどうにかできてよかった。石壁の向こうで、奴らが吠えているのが聞こえたわ

あの忌々しいハーピーは別の仔馬を盗んだ。聖アレッシアにかけて、あと一週間この調子なら、俺はコロールまで裸足で歩いて帰ることになる

酒場の壁にハーピーの首をいくつか飾るのも悪くないが、少なくともこれからは見張らなくても馬に草を食べさせることができるよ

オンシのまばゆい刀剣にかけて、くさい傭兵の一人が俺に手をかけたら、そいつを干したウリみたいに断ち割ってやる

あの傭兵たちを黙らせてくれてありがとう、旅人よ。あの犬どもは、時々鼻先を一発バシンと殴ってやらないとな

来てちょうだい、旅人さん。そしてしばらく留まってほしい

ゴールドコーストたちが戻る前に、この平和な時を楽しまなければ

旅人さん、仲裁に入ってくれてありがとう。ハーピーとゴールドコーストたちに挟まれて… ええ、この場所を売る羽目になっていたかもしれない

樽がまた空になる。ゴールドコースト傭兵団相手だといつもこうだ。長い一日をぶらついて威張り散らしていると、砂漠の砂のように喉が渇くんだ

ターヴァの赤き羽根にかけて、ハーピーの金切り声に邪魔されずひとときの平和を楽しめるのはいいことだ。旅人よ、どうやったのかは知らないが、ありがとう

あんたはあの最悪の傭兵どもの一員ではないね？ 夫はもう支払ったでしょ。ここから出ていきな！ 行って砂でも食べてろ！

旅人よ、とても長い間、私達はこの傭兵どもに苦しめられてきた。全員殺してくれればいいのに。そうすれば、私達は真の意味で安全になる

必死になってバカなことをしたわね。執政官にとってはゴールドコースト傭兵団のような街の殺し屋を歓迎するよりも、恐水病の犬の群れを解き放つほうがましだったでしょう

連中はみんな、犬と犬の子よ

やっと、村は平常に戻った。これで事務所からアンドリンを追い出すことができる

傭兵たちが来た時は、大変な専門家に見えたわ。とても勇気づけられた。でも、本性を長くは隠せなかった

あなたにトゥワッカの祝福がありますように。ついに翼の音を恐れずに眠れるわ

かつてこの宿屋はコザンセットの宝石だった。失われたものを回復するのに何か月もかかる。何年かもしれないが

ハーピーは去ったかもしれないが、彼らの絡み合った巣と不潔な糞はそのままだ。我々には多くの仕事が残っている

ようこそ… え… っと… ああ、ゼェトの涙にかけて。できない。私の宿屋は破壊されてる！

ハーピーよ。あの呪われた生物が、宿屋をボロボロにしたの。3代続いた宿屋だったのに。ベッド、枕、カーペット… 私たちが受け継いできた大切なものが、日々の記憶が、一瞬で引き裂かれたわ

酔って物乞いに喧嘩を吹っかけてたか、さもなきゃお年寄りをいじめてたんでしょうよ。きっとそう。奴らは最悪中の最悪よ

あなたに順風を。柄には揺るぎなき拳を。寝る場所が必要なら、まだ少しは残ってるわ

また今度街に寄る機会があったら、その時は立ち直ってると思う。多分ね

旅人よ、あなたのやったことに感謝している。私の宿屋はまだぐちゃぐちゃだけど、少なくともこれ以上の災厄を恐れずに再建できる

ハーピー、剣を持ったごろつき… セプの牙！ これ以上どんな災厄を乗り切れというんだ？

ハーピーと仲直り？ サソリやホタルとも仲良くできるんだろうよ

あの翼のある恐怖と水を分かち合うくらいなら、千回死ぬほうがマシだ

ハーピーが攻撃する場所は色々あるでしょうに、よりによって愛するコザンセットを選んだのね

長身のパパが助けてくれるわ

ハーピーに火を放って追い出してくれたらと願っていたけど、傭兵たちを従わせるのもいくらか慰めになるのかな

よし。もうだいじょうぶだ。助けてもらったし、いつかこの礼はするよ。何らかの形でね

娘が交渉に長けているのは昔から知っていた。ずっとそう言ってきたんだ