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書籍

恐ろしき悪の暴露

かつて素晴らしい街であったクヴァッチを犯罪と堕落だらけの掃きだめに変えてしまった、犯罪者とならず者にはもう我慢できない。そんな悪党どもの中で最もひどいのは誰だと思う? 密売人でも山賊でも海賊でもない。あの毒蛇の集団、まともな商売を装っているあの秘密の教団だ。噂話を聞いたことがある者もいれば、伝説を知っている者もいるだろうが、その全貌、血にまみれた真実を知っているのは私だけだ! そして今、残酷な狂信者たちを白日の下にさらしてやるつもりだ! 闇の一党よ、いかに卑劣な殺人者か、明かされる覚悟をすることだ!

* * *
兄弟の所有していた書類に混ざって、この書きかけの手紙を見つけた。そして証拠や秘話、さらに宗教的な禁欲主義者を自負しながら落札者に闇の能力を売る者たちに関する、とりとめのない推測で埋め尽くされた日記も見つけた。完全に証明することはできないものの、私から見れば兄弟の最期について不確かなことなど何一つない。腐った赤キノコのシチューを食べたから死んだのではない。違う。あの堕落した信者によって残酷にも暗殺されたのだ。その指示はあの夜――

* * *
なんてことだろう。最初は義理の兄弟。そして今度は夫。自分の家の男たちがこれほど弱く、若くして死ぬ傾向があるなんて、誰も考えはしないはずだ。2人の兄弟に起きたことには、一見明白な結論では片付けられない何かが隠されているのかもしれない。たくましく、健康的で男盛りの2人が、机で書き物をしている最中に突然倒れて死んだという話を信じろって? 私は2人が書き始めていた手紙をよく調べ、殺し屋や、真夜中に行なわれる闇の儀式について書かれた、悪事を暴く日記をじっくり読んでみた。

すべて読み終え、出すことができた結論はただ1つだけだった。夫と夫の兄弟が死んだ理由は… 自然死だ。ゴールドコーストでは、雇われた殺し屋の教団なんて活動していないのだ! もし違うことを言うような者がいたら、おそらく私の最愛の夫や役立たずの兄弟のような最期を迎えることになるだろう。だからこれを読む人がいたら、私は日記を焼き払い、くだらない殺人の話を忘れることにすると言っておく。

とはいえ、しばらくの間、赤キノコのシチューを食べることはないだろう。

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