ESO > 書籍 > リーパーズ・マーチの伝承
ズウィンソデュール・ラウン・ダー著
我々の中に密偵がいる。エルスウェア中の全ての道、全ての村、全てのキャンプファイアにまぎれこみ、私たちを監視している。
「それはそうだろう!」と思っただろう。「アルコシュ、マーラ、アズラーの名にかけて、我らが長老たちや母たちがいつも見守ってくれているだろう!」と。
そしてそれは正しい。彼らは見ている。
だが、それ以外にもいる。
我々を「不忠」と疑い、不誠実だの反逆者だのと報告すべく、一挙一動を見ている者がいる。
報告? 誰にだ? たてがみの役人にか?
いや、違う。相手は猫ですらない。
これら諜報員はエルフにのみ報告する。
正直、名前は聞いたことがあるだろう。誰かがささやいても、絶対に復唱してはならないその名を。
奴らは… 女王の瞳だ。
大きく恐ろしいアイレン女王にのみ世話になる奴らだ。
彼女の目は全てを見ると言われている。しかしエルフはどこにでも行けるわけではないのに、どうやって? カジートよ、エルフの金はどこにでも行けるし、実際に行っている。
シッ。本当はわかってるんだろ。
見られているのをわかってるから、尻尾の踊りは少し垂れ下がり、耳からは少し誇りが削がれ、頻繁に背後を確認するようになる。
だって、誰が買収されてて誰がされてないかなんて、分からないだろう? 誰が君についての報告書を出しているかも分からないし、どんな報告をしてるかも分からないだろう?
この間の央耀、君の隣人はどこに行ったんだろう? 瞳から新しい指示をもらいに行ったのか? もしくはアリノールに連れ去られ、水晶の塔の下の地下牢に入れられているかも?
カジートよ、気を付けろ。髭の神経をとがらせて警戒するんだ。
この者は監視されている。もうこれ以上この者からは警告できないかもしれない。
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