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書籍

クラフトモチーフ8:オーク

タムリエルの主要な文化様式に関する小論集のための、アルフィディア・ルプス博士による覚え書き

(ルプス博士は帝国公認の民族誌学者として、第二紀418年~431年にかけて最高顧問サヴィリエン・チョラックに仕えた)

ゆうべ、短い時間だが酔いどれホタル亭でディヴァイスと会い、あなたのことは大好きだけれど、モリアンに心を奪われてしまったと正直に打ち明けた。ディヴァイスはジェラール山脈を吹き荒れる嵐もかくやというほど表情を曇らせたが、それでも大きく息をつくと、どうにか威厳を保ちながら店を出ていった。ああ、どうか彼が大丈夫でありますように。

ただ、正直に言えば、今はモリアンのほうが心配だ。ディヴァイスとの共同研究は佳境を迎えつつある。間もなくモリアンはゲートをひらき、単身オブリビオンへと旅する予定だ。とりあえずはアズラが支配する領域、ムーンシャドウを目指すつもりだと言っている。それなら比較的安全なはずだと。安全ですって!? 私は鉄板の上に載せられたスクリブみたいに心配でならない。せめて出発する前にひと目会いたいが、モリアンは承知しない。儀式の執行に集中しなければならず、気が散るようなことは避けたいからと。

セイフイジからモリアンの手紙を渡された。オルシニウムの新しい大使を迎える支配者主催の公式晩餐会に、自分の代わりに大学を代表して出席してほしいと書いてある。是非とも行きたいと言っていたこの催しを欠席するからには、よほど忙しいに違いない。もっとも、わが「諸種族のモチーフ」プロジェクトにとっては願ってもない話だ。それに、仕事に没頭していれば、あれこれ気に病まずにすむ!

新たに帝国の州となったオルシニウムはまだ帝都に大使館を置いていないため、支配者に仕える半人半蛇のしもべたちの手で、白金の塔の1階に天幕がずらりと設営されていた。ズグギク大使を歓待しようと、すべての天幕はロスガーから取り寄せた本物のオーク備品で飾られている。私はこれ幸いとばかり、だらだらと冗長なスピーチが続くあいだ、日誌を取り出し、そうした品々をせっせとメモにとる作業に励んだ。

それにしても、オークのような野蛮な種族がこれほどまでに洗練された品々をデザインし、こしらえることができるとは! もちろん、彼らは防具作りの名手としてタムリエル全土に知られているが、私は常々、それは技能のおかげというよりも並外れた腕力のなせる技だと思っていた。しかし、彼らの武器や防具をちらっと見ただけで、それがいかに間違った考えかを思い知らされた。華美な装飾どころか、装飾自体いっさい凝らされていないのだが、ノルドのそれよりもシンプルで実用的なオークの金属細工には、均整と対称性、そして調和というものを彼らがどれほど深く理解しているかが表れているのである。オークの剣は暴力の道具かもしれないが、使う者の掌に吸いつくように造形された重いが形の良い柄と好対照をなす刃が、ダイナミックに薙ぎ払われるさまを思い浮かべると、なぜだか私はほとんど安らぎに似た気持ちを覚える。

その後、嬉しいことに、晩餐会の席で大賢者レディ・オペルの姿を見つけた。彼女は親しげに挨拶をしてくれ、エイダールチーズを肴にウェストウィールドのワインを傾けながら、2人の魔術師とはその後どうなっているのかと訊いてきた。私が何もかも台無しにしてしまったと思うと答えると、レディ・オペルは大丈夫、最後には全部丸く収まるからと請け合ってくれた。モリアンとは長い付き合いだそうで、あれこれと小うるさい年寄りのように見えて、そのじつ非常に思慮深い人間だという。彼があなたぐらい賢い女性を見初めたのは嬉しいかぎりだとも言ってくれた。これで研究室に入ったきり姿を消してしまう心配がなくなるもの、と。

けれども、私に言わせれば、それこそまさに彼がしたことだった。セイフイジともう一度話してみよう。彼なら、旅立つ前のモリアンになんとか会わせてくれるかもしれない。

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