まず、熊は木の幹に爪を立てました。それから、木に吠えかかりました。そして木の皮を食いちぎり、クチャクチャと噛みました。そのあいだ、お姫様は安全な場所から動かず、ずっとけらけら笑っていました。 とうとう熊はお尻をつけて座り、こう言いました。「お嬢ちゃん、何を怖がってるんだね?」 お姫様は下にいる熊に向かって叫びました。「あなたに食べられちゃうからでしょ、この馬鹿熊!」 すると熊は灰色の頭を横に振りました。「子供は食べないよ。降りておいで。ゲームをしよう」 でも、お姫様は熊の悪知恵にだまされるほど馬鹿じゃありません。お姫様にはそれが罠だと分かっていたのです。「そんなにゲームがしたいなら、ここまで上がっていらっしゃいよ!」 熊は低くうなると、木をよじ登り始めました。 <ページの端に手書きで何やら書きつけてある> お母さんを連れて遺跡に来なさい。この前教えたやりかたで扉を開けるといい。急ぐんだ、ヴィサンヌ。私たちにとって安全な場所はそこしかない。愛しているよ。 -R
ブレトンの子守話(ページが欠けている)

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