書籍

バリスの日記

記録42
また光だ。
昨晩はあまり考えていなかった。
ただ静かな海に星がきらめいているのと、遅い時間だから俺の目がぼやけているだけだと思った。
あれは今夜戻ってきて、さらに近づいてきている気がする。
俺の力ではどうしても見ることができない。
ただの変なちらつきか、瞬きにしか見えないんだ。

記録43
嵐がやってきた。
海の向こうの空が鋼鉄のような色になってきている。
ここ数日の夜中に見たあれに違いない。
雷鳴と稲妻だ。
もっと気をつけておくべきだった。

記録44
嵐がにじり寄るみたいに動くのなんて初めて見た。
海の上に漂っているみたいで、ほとんど動いていない。
待っているんだ。
こいつは良くない。
関税の勘定は明日にして、窓に板を打ちつけておこう。

記録45
船があった!
もやのなかに輪郭が見える。
ランプのような輝きがあるが、明かりは冷たい。
いったいあいつはどれだけの間、嵐の中に閉じ込められているんだろう?
無事だといいんだが。
ここから俺にできることはあまりない。
目を光らせておこう。
俺にできるせめてものことは、船が嵐の中で沈んだら港まで走って助けを求めに行くことだ。

記録46
ターヴァの赤い羽根にかけて!
船が嵐なんだ!
今夜、俺が網の方に針路を向けていたら、ガレー商船が1隻沿岸付近を通り過ぎていった。
避雷針みたいだった。
あのじりじりした嵐が台風みたいに躍り上がって、まるで生き物みたいにあのでかい貿易船に突撃していったんだ。
嵐に飲み込まれたと思っていたあの船はその先頭に立っていて、網みたいに雲を後ろに引きずって、遅い商船を取り囲んでしまった。
そいつは稲妻をガレー船の帆に向かって吐き出し、風と波でもみくちゃにしてしまった。

俺には動く度胸がなかった。
嵐の船がガレー船を襲うのを見てるしかなかった。
雷鳴にかき消されたせいで、叫び声や悲鳴はほとんど聞こえなかった。
逃げたいという気持ちが俺をようやく恐怖から立ち直らせた。
あいつらに発見されなかったのは運が良かったと言うしかない。

記録47
あいつらが来る。
アリーナを探してくれ。
愛していると彼女に伝えてくれ。
俺のために祈って欲しい。

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