別のカジートの物語

叔父さんに何て言えばいいんだ？ ムーンシュガーも、護衛も、猫まで！ 僕は全て失った！

不運だらけだよ！ ロスガーでオークに育てられたカジートとして、僕はいつも生みの親の土地を訪ねてみたいと思ってたんだ。歓迎されたかって？ とんでもない！ 盗まれたんだ！

叔父さんは僕を信用してくれた。自分の力を証明しなきゃいけなかったのに。完全な失敗だ

叔父さんのグルメ・ムーンシュガーをリンメンの市場まで運んで来たんだ。それで夜、野営地を用意してたら襲われた。猫のウィンクスは逃げて、護衛のマエジは盗賊を追っていった…

僕は愛… じゃない、心配してるんだ

野営地はそんなに遠くない。丘を越えた川の向こう側だ

僕も探したんだけど、手がかりを見つけるのは苦手なんだ。盗賊たちが、叔父さんからグルメ・ムーンシュガーを盗んだ後どこへ行ったのか。君が探したほうがよさそうだね

勇気を出して、カジートの方の家族に手紙を書いたんだ。そしたらヒジカル叔父さんから返事が来た。自分はロスガーで一番のカジート商人だって言ったら、家業を手伝ってほしいって言われたんだ

僕は嘘をついた。でも、あのムーンシュガーの品質は僕にもわかる！

ウィンクスか？ いい猫だよ！ 好奇心旺盛で、冒険心があって、勇敢で… なぜか今日は違ったけど

最初に騒ぎが起きた時、一目散に逃げだして、それ以来見てない。無事だといいんだけど

マエジのことだね。叔父さんのとこで働いてる。キャラバンの護衛としては最高だって、ヒジカル叔父さんが言ってた。その通りだよ！ マエジは凄い！

賢くて、面白くて、勇敢だ。オークみたいに戦って、逃げる盗賊を追いかけたんだ

ここで事件が起きたんだ

マエジとウィンクスと素敵な夕方を過ごしてたのに、突然あの卑劣な連中に襲われたんだ

事件はここで起きたんだ。奴らはどこからともなく現れた。殴られて、地面に倒れたのを覚えてる。目が覚めたとき、ウィンクスはいなかった。でもマエジの声が聞こえたんだ。牙のない盗賊たちを追いかけてた

3人って言いたいんだけど、暗かったし、相手は素早かったから。叔父さんのグルメ・ムーンシュガーを持ち去るには少なくとも3人必要だ。もっといたかもしれない

マエジのためにも、3人だけだって願ってる

僕はムーンシュガーの専門家じゃないし、好きでもない。でも叔父さんのムーンシュガーの純度ときたら… 文字どおり光ってるんだ！ それに加えて、同じ畑で育ったハーブも混ぜてる

とにかく何か目立ったものがないか、辺りを調べてほしい

マエジとウィンクスが無事だといいんだけど。でもマエジのことだ、むしろ僕のことを心配してるんだろうな。無理もないけど

僕はこういうことが苦手なんだ

僕の短剣を見つけてくれたの？ アヴレグ兄さんがくれたものなんだ

連中は袋を1つ落としてった。丸損でもないか…

あの音は… 聞こえた？

ウィンクス！

<ニャーオ>

どうした、ウィンクス？ 何が言いたいんだい？

<ニャーニャー>

マエジのところに連れてってくれるの？

ウィンクスが向かってる！ 追いかけて！

密売人たちだ！ やったな、ウィンクス！ いい子だ！

ウィンクスならやれると思ったよ！ マエジを探してくれって言ったら、まっすぐここに連れてきたんだ！

ウィンクスは僕を失望させたことがない。知ってのとおり、彼女は追跡にかけては優秀なんだ。狩りで僕が裏切られたとき、兄のアヴレグは、彼女を使って僕を見つけた…

あそこに殴り込んでマエジを助けたいけど、きっと事態を悪化させるだけだよね

感謝の気持ちをどう伝えればいいかわからない。それに攻撃を受けて、まだ少しくらくらしてるんだ

ウィンクスを連れて隠れ場所を探すよ。マエジが無事で、元気だったらまた会おう

マエジは大丈夫だ。そうでなきゃ困る。強くて勇敢、それがマエジなんだ… エルスウェアでの日々は散々だったけど、彼女だけは違った。マエジは最高さ

あなたが密売人じゃないなら、この者を解放してくれると嬉しいな

あいつらがムーンシュガーをどうしたのか、マエジには分からないの。この者は友達の様子を見てくるから、その間に探してみて！

あのくっさい密売人たちに待ち伏せされて、荷物を奪われるなんて。マエジは手抜きなんてしてないけど、ザシムはとっても…

いつまでも気にしてても仕方ない。どう？ 盗まれたムーンシュガーは見つかった？

マエジに見せて！ ふーむ。メモには荷物の3分の1がセンシャルに向かうって書いてある。他のは別の引渡地点に持っていったって。1つは沼の北の川のそば、もう1つは古い農場

マエジが1人で探すには、場所が多すぎるよ！

ほんと？ ザシムは… 他のカジートたちと比べてちょーっと変わったとこあるからなぁ…

よし、マエジはザシムを見つけて、センシャルに向かう密売人を妨害する！ あなたは引渡地点に行って、盗まれたムーンシュガーの残りを取り返してくれる？

マエジ！ 心配してたんだ！ 僕の友達に会えたみたいだね

ザシム、会えてよかったよ！ あのね、あなたの友人が盗まれたムーンシュガーを探してくれるから、急いでセンシャルに行かないと！

大きな借りができたね。マエジを助けて、ウィンクスを見つけてくれた。ありがとう

センシャルと、盗まれたムーンシュガーはどうなったかな？ 僕が叔父さんの信頼を取り戻せる可能性はまだある？

それで1つは何とかなる。他の2つは？ 3分の2を失ったら、叔父さんは破産するかもしれない！

じゃあ、もっと借りができるね

ここでは次から次へと災難が起きるけど、エルスウェアに残って家業を学びたいと思ってるんだ。でもムーンシュガーを失ったら、叔父さんに勘当されて、ロスガーに送り返されてしまうよ

そんなことはない！ いつでも訪ねられるし手紙も書ける！ でも、これはカジートの母の家族を知るいい機会だ。カジートであることがどういう意味なのかを学べる

それとマエジ… えっと、彼女はとても素敵だろう？

それはないよ。彼女は自信に満ちていて、情熱的で強い。釣り合うとは思えない

いや、できればこの話は、僕と君の秘密にしておいてほしいな

いろんなことがあったけど、今のマエジは幸せ。ザシムがちゃんとした商人になるには、これからたくさん学ばなきゃいけない。でもザシムはとっても… 面白くて、不思議な人。密売人にひどい怪我をさせられなくて、ほんとによかった

ザシムが心配する気持ちもわかるけど、ヒジカルは商売に失敗する危険を心得てる。ザシムはね、叔父さんにどれだけ愛されてるか気づいてないの。ムーンシュガーが取り返せなくたって、ザシムが無事なら喜ぶはずよ

ザシムってば、ほんっとにいろんなことがわかってない

ヒジカルは、ムーンシュガーを取り戻せなくても受け入れると思う。でもマエジは、積荷を取り戻すためにできることは何でもやりたい

じゃ、話した通りセンシャルに向かった荷を追いかけよう！ あなたは引渡地点を調べて！

ほんと！？ マエジも… ってだめだめ。ほ、ほら、ムーンシュガーから目を離したらこんなことになって、だから、マエジがなんとかしなきゃならないわけ。えーと、とにかく今はロマンチックな話を聞いてる暇はないの！

少なくとも、積荷を取り戻して届けるまではねっ！

ザシム、それ名案！ このセンシャルで商人たちに売れば、もっと早く利益を出せる。叔父さんも大喜びね！

マエジには、独特な香りがわかる。間違いない、ヒジカルのグルメ・ムーンシュガーの香りよ。2つも見つけたのね！ すごいわ！

まだ3つ目は見つかってないの。鋭意捜索中よ！

ああ、心配してたんだ！ ずっと姿が見えなかったし、密売人も、センシャルに向かうムーンシュガーも見つけられなかった

君にいいことがあったんだといいけど、もしそうでなくても話して。いい知らせが聞きたいんだ

本当か？ 僕をからかってるんじゃないな？ うん、それはなさそうだ。いい報せだよ

後は、盗まれたムーンシュガーの残りがどこで見つかるかわかるといいんだけど

見せて… ああ、これは酷い！ 密売人がこの計画を実行に移したら、叔父さんの評判はひどいことになる！ グルメ・ムーンシュガーを買う客がいなくなってしまうよ！

ねえ、ここの入り江を巡って、最後の荷物を見つけてくれないかな？

君がグルメ・ムーンシュガーの残りを取り戻せたら、その次の計画があるんだ。叔父さんを感心させて、僕が家業の役に立つことを示せる

グルメ・ムーンシュガーを見つけたら、リンメンまでの輸送費を負担する代わりに、ここで荷を売るつもりなんだ

マエジはいい計画だと思ってる。大都市ほど稼げないかもしれないけど、それなりのお金になるだろう

まだわからない。リンメンの取引相手は叔父さんから聞いたけど、ここセンシャルでは誰も知らないんだ。幸い、マエジは叔父さんのために色々仕事をしてくれてた。マエジはこの街で、ふさわしい商人を紹介できるって考えてる

リンメンよりセンシャルの方が、グルメ・ムーンシュガーに高い値段がつくと思うよ

もちろん！ 密売人とドラゴンに怯えてる毎日を考えれば、ザシムの計画は筋が通ってるもん。商売人として考えても、取引をちゃっちゃと成立させるのは堅実だしね

でも… マエジはザシムと一緒に旅ができなくなって残念、かな

いまさらそれ聞く？ 好きじゃないわけないでしょ！ あのね、ザシムには普通のカジートにはないレアな魅力があるの。それに、ここまで旅してきたのよ！

マエジはオルシニウムの大都会を見てみたい。もちろん、ザシムがいいって言ってくれたらだけど… ね

パンザラの爪で切り裂いてやる！

僕の… じゃない、この者の叔父さんは、今進めてる契約の合意に漕ぎ着けるだろう。グルメ・ムーンシュガーの独占契約だから、全員の利益になるはずさ。へへっ

この者は嬉しいわ！ ペレタインでのグルメ・ムーンシュガー販売を独占できるなんて。本当に楽しみね

やったわ、ザシム！

見て！ 僕は叔父さんのために、有益な契約の交渉をしたんだ！

それで、君のほうは？ 盗まれたムーンシュガーの残りを取り戻せた？

ああ、今日は本当に色々なことがあったよ！ 猫がいなくなり、叔父さんのムーンシュガーを失い… 僕の… 護衛まで。だけど、君のおかげでみんな無事だ。それに、叔父さんのグルメ・ムーンシュガーの取引ができた

悪夢で始まったけど、最後にはいい夢が叶ったよ！

僕は2つの場所の子供だと思ってる。ロスガーとエルスウェア。どちらか片方に留まっても、本当の意味で幸福になれるとは思わない。でも、考えがあって…

行商人になるよ。ずっとなりたいと思ってたんだ。叔父さんに頼んで、マエジと一緒にオルシニウムからセンシャルの交易路を開けるかどうか聞いてみるよ！ もちろん、マエジにその気があればね

さあ、これは手伝ってくれたお礼だ。本当にありがとう！

ザシムか！ この者はマエジから伝言をきいて、すぐ来たぞ

僕たちは叔父さんのムーンシュガーを売って、独占契約を結べたんだ！

この者はお前をリンメンに送ったが、お前はセンシャルで事業を拡大してくれた！ 感心したぞ！

叔父さん… ひとつ提案があるんだけど、聞いてくれる？

よくやったぞ、ザシム。お前の商売のアイデアを、何もかも聞かせてくれ

君のおかげだ。期待以上に、全てがいい方向に変わった！ 君は僕の本当の価値を、マエジとヒジカル叔父さんに示す手助けをしてくれた。エルスウェアでもロスガーでもなく、その両方の息子として

ウィンクスもお礼を言ってるよ！

マエジとウィンクスがいれば、何だってできると思える！ 彼女には本当に驚かされるよ！

実は、彼女がもう少し先までの条件に同意してくれないかと思ってるんだ。僕が育った場所を見てもらいたいし。暖炉の母さんやオークの兄さんにも会ってもらいたい。それから…

まあ、その時になってから考えよう

ザシムには大きな計画があるの！ センシャルを歩き回って、商人と会えるまで待っている間に話したんだ

ふふ、とっても素敵な時間だった

うん、そうできたら素敵だなーって。マエジは、ザシムがカジートの流儀を理解する役に立ちたい。で、ザシムからオークの流儀を教えてもらえたらいいなって、そう思ってる

商人の生活も、キャラバンの護衛の毎日みたいにドキドキだったらいいなー！

そう思う？ そうよねそうよね！ あ、でもウィンクスがまた逃げ出しちゃうかも

うーん… あ、そうだ！ 小さいリードを持っていけばいっか。ね、どう思う？

マエジは、この者の盗まれたムーンシュガーを探すのに、マエジと甥を助けてくれたよそ者について手紙をくれた。あれはお前だったのか？

それはいい報せだ。この者は姉の子が生きていたと聞いてとても嬉しかった。ヒジカルは、ザシムにうちの商売の大事な一員になってもらう計画を立てている

グルメ・ムーンシュガーは、南エルスウェアで一番の品だ！

優秀なキャラバンの護衛を手放したくはないが、新しい娘も欲しいからな！ まあ、驚かないでくれ。ヒジカルは互いの様子に気づいていた

それに、この者は商売も成功させたい。だからザシムにやらせてみる。成功するといいが！