私を見つけた人へ。この手紙とかばんに入った指輪をレヤウィンのテルティア・ファルトーに届けてください。
最愛のテルティア
君は「ほら、撫でてあげて。ただの無害なモングレルよ」って言ったね。
僕たちがどれだけ間違ってたか、ほとんど分かってなかったよ。あの悲し気な犬は前兆であり、僕の死の導き手だったんだ。
あのレヤウィンでの完璧な夜は今でも頭に浮かぶ。喜びに満ちた君の顔。まぶしかった。通りを歩いた時の君は太陽の光で輝いてた。できたら、本当にできたら、それをもう一度見たかった。できたら。
ポケットの中にある指輪を渡して、計画どおりにプロポーズすればよかった…
手を伸ばしてあの忌々しい犬を撫でようとせずに。もちろんあいつは噛みついたよ。だけど、その表面的な怪我は単なる始まりに過ぎなかった。
当然ながら、手から血が噴き出している状態で君にプロポーズなんかできなかった。だから僕は我慢して、黙ってその場を離れて一番近い治癒師のところに行った。そこでは親切なアルゴニアンが怪我に包帯を巻いてくれて、痛みを抑えるために薬用ヒキガエルをくれた。不幸にも、それは本当の負傷に対しては貧弱すぎる鎮痛剤だと分かった。
日が沈むと、僕は高熱による狂気じみた夢に苦しめられた。最後に覚えてるのは、自分の服を引きちぎって吠えながら夜の中へ駆けて行ったことだ。目を覚ましたら、誰かの鶏小屋で、血と羽にまみれてた。
どうか分かってくれ。これは君のためにやる。この呪いを受けたままもう一度君に会ったら、危害を与えてしまうかもしれない。そんなことになったら、自分が許せない。だから会わない。渡せなかった指輪を遺すよ。これは他の誰でもない、君のためのものだった。
いつまでも君を愛する
アロイシウス・フルヴァヌス
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