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タネスの女王の秘密の主、タモニール著
アバーズ・ランディングの貿易会社の中でも先駆けであり、その末裔たちによれば最も偉大な貿易会社がアトアディン・シンジケートである。
武勇と愛想のよい人柄で知られるレッドガードの男アフシュール・アトアディンによって創立され、育てられ、120年近くにわたり繁栄した。
野心家アフシュールは初めレッドガードの剣、オークの斧、ウッドエルフの弓などを売買する素朴な武器商人だった。
当時の客は主に目的地へ向かう途中でアバーズ・ランディングに立ち寄っていた海賊や私掠船だったが、それらの船舶や船員と輸送契約を交わすようになるまで長くはかからなかった。
時が経つとシンジケートは商品に鎧や盾を加え、身を守ろうとする者や船で戦いに突入しようとする者が、一気に買い物を済ませることのできる場を提供しようと試みた。
海賊団、傭兵団、国に仕える私掠船までもが、品質と保証を証明するシンジケート印の入った武器や防具を求めてごった返すようになった。
こういった繋がりから、また新たに有力な収益源が生まれた――シンジケートは傭兵契約の仲介業を始めたのだ。
現在のリーダー、オラハン・アトアディンは、シンジケートを厳しく支配している。
冷酷で才気あふれるレッドガードである彼は、全ての交渉を戦いのように、全ての競争を戦争のように扱う。
その実、戦争こそがアトアディンの主要な取引分野となっており、そのおかげで近年貿易会社を襲う謎の災難を受けても利益をあげ続けることができている。
わが女王も承知の通り、私が「隠れた貿易会社」と呼んでいる謎の組織は、実態を捕まれることを避けつつも確実に策謀を張り巡らせている。
私は必ずその真相にたどり着く。
ただ、それがいつになるか分からない。
オラハン・アトアディンは武具や兵器、傭兵契約、さらには紛争があれば敵味方問わず物資を密輸するといった商売を行っている。
彼は金さえ入ってくれば、カバナントに武器を、パクトに鎧を、ドミニオンに物資を売ることもいとわない。
貿易会社たちを抑制し、巧みにもひそかな攻撃で衰えさせていた勢力が急に消え、シンジケートは再びアバーズ・ランディングで力を強めようと動き出している。
他に懸念すべきこともあるが、オラハンやその家族と関わる際は注意するよう勧める。
しかし誤解して欲しくないのだが、ヒューズベインとアバーズ・ランディングで何かを成し遂げようとするならば、彼らは避けて通れない存在だ。
(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。
湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した――匿名)
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